動力は蒸気によるもの325馬力、水力は125馬力の計440馬力で蒸気力が非常に多い。これは当時水力を利用するよりも蒸気施設の方が簡単で且つ安価であったためである。此の事は紀の川の沿岸に設立された小倉勇氏の工場が蒸気力を使用している点からも伺える。

堅鋸

(二)生産量と主なる製品

次に生産量を見ると1ヶ年の素材消費量は141,500尺締めで最も多いのは山本源次郎氏の39,500尺締、次ぎは小倉勇氏の20,000尺締めと同じく20,000尺締めの石田庄七氏で続いて10,000尺締めから6,000から5,000尺締めとなっている。 製品の主なるものは一般建築用材であるが一般建築材の中でも特に板類が多く桧の4分板と6分板は海南市(当時海草郡黒江町)に漆器の原料として出荷され樅板の薄板は素麺箱用として香川県に出荷されている。

  松板は主に綿ネルの梱包用材として市内に出荷され一般の建築用材の柱角の生産は比較的少なく円鋸工場に於ても主に板類を挽いた様である。